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【DUDYE】(デュダイ,スウェーデン)

The Way Architect Anna Nakamura Works

Interview Date: 14-12-2009 Source:

http://dudye.com/the-way-architect-anna-nakamura-works


Hi Anna,
Thank you for agreeing to the interview for DUDYE, here are the questions:

 1. あなたが建築に興味をもったのは、いつですか?、そして、なぜですか?

 私たちが建築に興味をもったのは、20代のとき、旅行をして日本や世界の建築を見て歩いたとき。そのとき、特に惹かれたのは、イスラムの建築、万里の長城、ルイス・バラガンの建築、日本の茶室、日本の禅宗寺院の庭、洞窟住居。

 中村安奈と神野太陽が共同で、2003年、京都で立ち上げた。小さな事務所で、スタッフを含めて、4人で仕事をしている。立ち上げ当時、山の中の小さな集落にある個人住宅と、10万人収容の、2008年北京オリンピック・レスリング競技場「Light Thread-光の通路-」の設計から始めた。小規模と特大規模の建築とを同時に設計することから、イースタンは始まった。山の中の住宅「水平の家」は、2007年に一旦完成したが、住人が住みながら、今もつくり続けている。

 2. 優れた建築とそうでない建築とはどのような視点で見分けるべきだと考えますか?

  A その建築家のつくる作品が、唯一無二のものであるかどうか。

  B 敷地、施主、そこで暮らす人々に似合うものであるかどうか。

  C その建築家のつくる作品に一貫した思想があるかどうか。

 3. あなたは建築をつくる上で、どのような創造性を使うでしょうか?

 私たちは2つのことを目指して建築をつくっている。

  1. 形の必然があること。
  2. 住人が、“天下をとったような気分になる”こと。

 1 について。
 なぜ、また、どんな理由から、その形が生まれたか、その由来が、はっきり言える。それにもかかわらず(はっきりしているからこそ)、詩的な、未知な、感覚をもたらす形を選ぶ。

 2 について。
 “天下をとる”というのは、建築をつくること、建築を手に入れることによって、自分の世界、自分が生きてきた間に、知らず知らずのうちに身についた、ひそやかさ、居心地、たたずまい、野望、独立心、意地、怒り、疎外感、あるいは場所と自己との親密感、そういう自分だけの世界を手中におさめたような気持ちになれるということである。

 この2つのことは、世界に共通して理解できる、建築をつくる動機である。なぜなら、次のように言えるからだ。すなわち、敷地の周りがよくないとき、そこに大きな開口を開けたところで、ガラスを多用してスタイリッシュな演出をしたところで、人は自分の世界を手に入れたとは思わない。自分の感性が守られていないところで、だれが心を開くことができるだろうか。

 私たちがつくったものは、例えば、幅14センチメートル、60本のスリットがつくる光の光。建築を、光が貫く瞬間に、光がうごめく波、小さなミシン目のような円窓がつくる十字、刻々と動く光の十字、子どもが追いかける精霊のダンスのような光と影のストライプ、木のなかに住んでいるような開口、山々とそこにいる神々の飛翔を見渡す細い、長い長いスリット。

 実は、これらの言葉は、…建築を試作することで頭に浮かぶこれらの感覚は、だれもが理解できる情景なのだ。人間は似ているところがある。土地に根ざしたものを深く掘り下げると、地下水が湧き出るように、日本でもポルトガルでも天津の片隅でも、メキシコのスラムでも、感覚しうる。そういうわかりやすい効果を、建築の開口の表現に求めたのだった。

 私たちが大きな窓を(今のところ)つくらずにおり、スリットや円い窓や細い曲線だけで建築をつくるとき、“秘めたる内庭”をそのなかにイメージしている。その“もう一つの場所”は、世界から切り離された外部となり、(逆説的であるが)、建築の内部に囲まれた場所となり、それゆえに、自己の空を近くに手にし、雲の動き、太陽の向きを、際立たす。

 4.どのようにしたら、創造的、生産的でいられるでしょうか?

 一日の生活のリズム、一週間の生活のリズムをつくること。

 そのリズムの中で、必ずリフレッシュする時間、独りで静かにものを考える時間、冷静な目線で自分の仕事を見直す時間をとること。

 自分独りだけで完結せずに、対話すること。

 今まで考えた自分のアイデアが良くなければ、潔く捨て去る勇気を持ち続けること。

 私たちはふたりとも、毎日、夕方、ジョギングをする。ジョギングによって、頭をクールダウンする。そして、夜、すっきりとした頭で自分の仕事を見直す。良いアイデアが浮かぶのは、たいていこんな時間である。

 5. あなたは問題を解決するときに、自然にふっと答えが頭にうかぶのですか?

 重要なことは、どれだけたくさんのアイデアを出せるかであり、同時に、どれだけたくさんのアイデアを捨てられるか、ということである。考え出したアイデア、そして捨てたアイデアが多いほど、建築の質はより明快で強いものになる。

 6. あなたの仕事のうちでもっとも難しい挑戦は何ですか?

 まだ誰も見たことがない建築、それでいて、敷地と離れない建築、施主とそこに暮らす人々が「なるほど」と納得する建築をつくること。
 その建築で暮らす人々が、「天下をとったような気持ちになれる」建築をつくること。

 7. どうやって、その挑戦を解決しますか?

 毎日真剣に仕事に取り組むことによって。あきらめないことによって。
 スポーツ選手が、「良い結果を出すための一番の要因は?」と聞かれて、「日々のトレーニングである」、とこたえることと似ている。

 8. 創造的であるために、建築家はどのようなことを心がけるべきであると考えますか?

 たくさんの建築を見ることが重要。現代建築だけを見ていてはならない。西洋から東洋、イスラムの建築まで、古代から現代までの建築をできるだけだくさん見ること。歴史を学ぶというよりも、むしろ、その中に潜む建築の力を理解し、感じとることが重要である。
 そして、身近にある生活のひとつひとつを大事にすることが重要である。人と話をする、食事をする、お酒を飲む、本を読む、音楽を聴く、ぼんやりと何も考えずにリラックスする、部屋から部屋へと移動する、外の風景を見る・・・これらのひとつひとつのことが、建築の中で、あるいは外でどのようにおこるか、ということを常に考えること。
 建築家の特権的な仕事とは、施主、そこで暮らす人々、その土地に、より多くの幸せをもたらすことである。




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