ダイニングバー素晴人-真っ黒な空間のなかの<借景>





 京都の桂にある、パチンコ店の地下階にあった居酒屋の改修である。
 真っ黒な空間のなかに〈借景〉を用いる。

  1. 庭という中心に視線が集中する。囲われた壁を消す。庭と手もとを知覚する。
  2. どこからどこを見てもその視野の中心に庭を介す。よい席わるい席のヒエラルキーを消す。自分が中心にいる。
  3. 庭の境界に格子のリズムが存在する。そのすきまが客人間の距離感を消す。向こうがわはここと異なる。






 庭は中心にあるのがよい。人々が居座るとき、変哲のないビルタイプの四角い部屋の中央は使い道がないもので ある。部屋の中央に中庭を通す。端から端まで迷わず通す。幅1.2m、長さ10.8mの川のような形に石を敷き、50 個の青い照明を埋める。境界は紫の格子を101本立てる。
 真っ黒ななかに、色ははっきり用いる。中庭は青、格子は紫、壁は黄、テーブルは赤。
 地下は外界が見えない。だが、中庭に4色の色を重ねて見るとき、向こう側にあるものがかわる。
 向こうは、摩天楼か、星くずか、いいえ、寺院か、月光か。



 桂は、京都と大阪の双方へ通う人々が住む。夜6時からの営業である。
 場所が駅前であることや京都大学の移転 等を見込み、団体客もターゲットである。
 普段、小上がり席は簾によって仕切る。宴会時に簾をあげ、テーブルをつ なぎ、30名の団体が使う。
 その際にも、中庭という特異なしきいがそのさわぎを気にさせない。 

 建築データ:「  ダイニングバー素晴人 

  • 所在地:京都府
  • 延床面積:137.7平方メートル
  • 用途:飲食店
  • 写真:鳥村鋼一




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