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ストライプス

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滋賀 / 日本
2007

ストライプス -総合医療ビル

この建築の形は、踊る光と影である。

一日かけてゆっくり踊る

能の舞のようにゆっくり踊る。

 

それを分厚い彫刻性をもって表現している。

 

ランダムな曲線の形が、ランダムな構造体となっている。長手41.13m、短手13.13m。高さ7m。

自由に出入りできる空隙が12箇所。光の出入りは30箇所。

場所は滋賀県、日本最大の湖、琵琶湖の東岸にできた医療テナントビルである。

町中を水路が流れる。この豊かな水田地帯は、かつて豪快な文化の交叉路であった。

西方に京都。南方に熊野、伊勢。北方に聖なる山、伊吹山。古代弥生期より、東方へ行く者はこの地を通った。

能の舞台を見るような、異質さと劇的な効果は、簡素さを通ずる豊かさである。簡素さによって場所を引きしめることでそれをうる。

これが、光と影の通り道をつくる、という発想となった。…古代からの恵みを備えるこの地に、ある特別な豊かな形をつくろうとした。

 

農耕人が畦道を行く。こどもたちが垣根を舞う。木陰で昼寝をする。豪農の季節的な祭祀。獅子舞。

餅を手渡しあう人々の挨拶、笑顔と笑顔。さらには、廻国する人々の神楽。

そういった人間の舞が、この建築の造形の原点になっている。

労役と苦悩を忘れ、日々の呻吟を息抜き、笑い、静める。日常をこえた光芒を「開口」させる。

(縞)の織りなす光芒が、人々の交叉路を普段見るものと性質を変える。形が光を揺り動かす。

一日を通じてゆっくりと舞う「縞」のなかを、こどもたちが旋回する。

敷地の隣に幼稚園がある。こどもと母親が通る。ここは小中学校の通学路である。斜向いに公園がある。

こどもたちが開口を出たり入ったり遊んでいる。

こどもと病院へ行く人々が交通する。

病院とは思えぬ爽快さと温もりがここにはある。

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ストライプス(総合ビル) 

所在地:滋賀県東近江市

敷地面積:1658平方メートル

建築面積:540平方メートル

延床面積:1012平方メートル

構造:鉄筋コンクリート造

規模:地上2階

用途:診療所(入院設備なし)、調剤薬局、貸事務所

構造設計:北條建築構造研究所

施工:株式会社奥田工務店

写真:鳥村鋼一​

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